先日,規約改正の指導をご依頼いただいている組合の理事の方とのお話の中で「特別の影響」の意味について次にような説明させていただきました。
すなわち,規約の改正が一部の区分所有者に「特別の影響」を及ぼすときには,その承諾を得なければならないとされています(区分所有法31条)。
この点,条文を文字どおりに解釈すれば,特定の区分所有者に不利益を及ぼす規約改正については全て,その承諾が必要ということになりそうです。
しかし,そうではありません。
「特別の影響」の有無は,規約改正の必要性・合理性と,それによって特定の区分所有者が受ける不利益とを比較して,特定の区分所有者が受ける不利益が受忍すべき限度を超えると認められるか否かによって判断されます。
すなわち,規約改正によって特定の区分所有者が不利益を被るとしても,規約改正の必要性が高く,内容が合理的で,それによって受ける区分所有者の不利益がその内容・程度に照らして受忍限度内であると認められるようなケースでは,当該区分所有者の承諾無く行われた規約改正も有効とされることになります。
このように,区分所有法は,区分所有建物の管理が管理組合によって団体的に行われることを期待し,それが円滑に行われるよう,法的な環境を整備した法律であることをよく理解する必要があります。