以前,ご相談を受けた事案で,複数の棟で構成されている「団地」なのに,規約は単棟の管理組合と同様の内容になっているマンションがありました。また,逆に団地管理組合としての規約を持ち,団地として一体的に管理をしていながら,法律上,団地の要件を満たしているのか疑問を生じるような例に接したこともあります。
区分所有法は,①一団地内に数棟の建物があって,かつ②団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者の共有に属する場合に,当然に団地関係が成立し,団地建物所有者の団体が成立するものとしています(区分所有法65条)。この団体が現実に組織として活動するときに「団地管理組合」と呼ばれることになります。
上記の要件から明らかなように,①いくら見た目が「団地」であっても,②団地内の土地又は附属施設について,複数の建物所有者の共有に属するものが1つもなければ,団地関係は成立しません。
また,団地関係が成立しても,個々の区分所有建物について区分所有者の団体が成立していることには変わりはありません。法律上,当然に団地管理組合が管理することとなるのは,団地建物所有者の共有に属する土地・附属施設のみであり,区分所有建物や棟別の区分所有者のみの共有に属する土地,附属施設などは,団地規約に基づいて団地管理組合の管理の対象としない限り,各棟の管理組合の管理に委ねられています。
そうすると,団地であるのに単棟の管理組合であるかの如く,又は逆に団地でないのに団地管理組合として,全て1個の総会で済ませている場合,総会決議の有効性やその効果をめぐって問題を生じるおそれが出てきます。
とりわけ,義務違反者に対する措置(区分所有法57条~60条)については,団地管理組合では決議することができず,棟別の総会で決議をすることが法律上,必要です。 日常的にはとくに支障を生じていなくとも,いざというときに困らないよう,団地か否かによって適切な形態で管理組合を運営することが望まれます。