2017年,民法を大改正する法律が成立し,一部の規定を除き,2020年4月1日から施行されることとなりました。この改正により,マンション管理費・修繕積立金(以下,「管理費等」といいます。)の消滅時効期間に変化はあるのでしょうか。
結論から言うと,大きな変化はありません。
従前,管理費等は民法169条に規定する定期給付債権にあたり,同条所定の5年の短期消滅時効が適用されるとされていたところ,今回の改正で従前の169条の規定は削除されました。これは,管理費等を含む定期給付債権について,特別扱いを止め,一般の債権と同様の規律に服させることとするものです。
改正民法では,債権の原則的な消滅時効期間について,「権利を行使することができることを知った時」(主観的起算点)から5年又は「権利を行使できる時」(客観的起算点)から10年と定めました(166条1項)。
その結果,管理費等についても主観的起算点から5年又は客観的起算点から10年で時効が完成します。管理費等について,債権者(管理組合)が「権利を行使することができることを知った時」は,通常,債権の発生した時点と合致するでしょうから,改正前の「権利を行使できる時」から5年という規律と,大きな変化はないと考えられます。