団地管理組合は、規約により、団地内の「附属施設たる建物」(区分所有建物の「部分」を含む)を「団地共用部分」とすることができます(区分所有法67条1項)。上記の「部分」は、独立性があって専有部分となりうる「部分」でなければならないと解されています。
では、そのような独立性のない建物部分、たとえばピロティーや玄関ホールについて規約で「団地共用部分」と定めた場合、そのような規約の規定は違法・無効というべきなのでしょうか。
標準管理規約には理事会決議によって理事長を解職できる旨の規定はありません。
しかし、最判H29年12月18日(民集71巻10号2546頁)は、標準管理規約に準じた規約のもとにおいて理事の過半数の一致により理事長を解職することを認めています(一昨年もコラムに書きました)。
判旨に異論を唱えるつもりはありません。ただ、この判例を改めて検討していて驚いたのは、過去に標準管理規約改正の過程で行われていた議論の内容とその質です。
マンション管理組合の監事は理事会で理事の業務執行の妥当性(適当・不適当)について意見を述べることができるでしょうか。
「そんなこと当たり前でないか」と思われた方もおられるかもしれませんが、反対の見解を述べる文献があります。
マンション管理に関する新しい最高裁判例をご紹介します。平成31年3月5日第三小法廷判決(裁判所ウェブサイト「裁判例情報」掲載)です。
管理組合総会の招集通知は、法律上は、会日の「少なくとも1週間前」に発信しなければならないものとされています(区分所有法35条1項)。ただし、この期間は規約で伸縮できるものとされており(同項ただし書)、標準管理規約では、これを「2週間前」に伸長し、より長く区分所有者が熟慮する期間を確保しようとしています。
ところで、この「1週間前」や「2週間前」を具体的にどのように計算すればよいのでしょうか。たとえば3月31日に総会を開催する場合、何日までに発信すれば、2週間前に発信したといえるのでしょうか。31から14を引けば17なので3月17日に発信すれば問題ないのでしょうか。
管理会社が管理組合との間の管理委託契約に基づいて負う義務を怠り、その結果、特定の区分所有者が損害を被ることがあります。この場合、誰が誰に対して、何を根拠に損害賠償を請求することができるでしょうか。
今年、近畿地方は、台風21号の直撃を受けました。この台風が通過した際に強風によって屋根瓦や看板等、様々な物が飛散したことは、ニュースでご覧になった方が多いと思います。このように強風で飛散した物が近隣住戸の窓ガラスや自動車等に衝突して損害を与えた場合、法的な責任はどうなるのでしょうか。分譲マンションのバルコニーにある何らかの設備(仕切り板等)が強風で破損・脱落し、飛散して近隣に被害を与えたというケースを例に考えてみたいと思います。
区分所有法17条1項は、共用部分の「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く」変更について規定しています(以下、同項の適用される「変更」を「狭義の変更」といいます。)。具体的には、狭義の変更につき、総会における区分所有者及び議決権の各4分の3以上の特別多数決議を要するものとしています。敷地については、同法19条が17条を準用しているので同じ規律となります。
最高裁は近時、標準管理規約に準じた規約がある管理組合でなされた理事会決議による理事長の解任を有効と認めました(最判H29.12.18、LLC/DB:L07210099)。マスメディアでも報道されましたので、ご承知の方も少なくないでしょう。
2017年,民法を大改正する法律が成立し,一部の規定を除き,2020年4月1日から施行されることとなりました。この改正により,マンション管理費・修繕積立金(以下,「管理費等」といいます。)の消滅時効期間に変化はあるのでしょうか。
住宅宿泊事業法(以下、「民泊新法」といいます。)に基づく住宅宿泊事業の届出の受付開始が迫り、その対応がマンション管理組合の喫緊の課題となっています(同法の施行は本年-平成30年-6月15日ですが、届出の受付開始は本年3月15日です。)。
自動車保険の約款を見ると、対物賠償責任の免責事由として、記名被保険者において「管理する財物」が滅失等したことによって損害を被った場合が挙げられています。では、管理組合がマンション管理会社に管理を委託している場合、マンションは管理会社にとって、この「管理する財物」にあたるのでしょうか。
管理組合が管理費滞納者に対して滞納管理費請求の訴訟を提起し、滞納管理費の回収を実現できたとしても、手続を弁護士に依頼したとすれば、手続費用が持出しになってしまいます。そのような事態を避けるためには、標準管理規約にならい、規約に「違約金として」弁護士費用を請求できる旨の規定を設けておくことが必要です。
滞納管理費等を回収する手段として,滞納者に対する水道・電気の供給を停止する措置が採られる場合があります。
しかし,水道・電気のような,いわゆるライフラインを停止することは,居住者の生命・健康に対して重大な危険を生じかねない行為です。そのため,居住者から不法行為として損害賠償を請求されるおそれがあります。
組合員(区分所有者)の親族(非組合員)が管理組合の理事長に就任し,管理組合の預金から多額の横領を行ったという事案に接しました。その組合では,組合員であることを役員の資格要件から外していたのです。
前にこのコラムで,管理費債権を放棄するには区分所有者全員の同意を要するとの見解があること,私見はこれと異なることをお話ししました。今般,上記の見解を断言する文献を目にしましたので,その説について論じたいと思います。
管理規約は区分所有関係を規律する重要なルールです。しかし,法令と違い,裁判所にとって何がその組合の規約かは予め分かっているわけではありませんから,裁判となれば,規約の成立を立証する必要を生じることがあります。では,どうやって規約の成立を立証するのでしょうか。
以前,ご相談を受けた事案で,複数の棟で構成されている「団地」なのに,規約は単棟の管理組合と同様の内容になっているマンションがありました。また,逆に団地管理組合としての規約を持ち,団地として一体的に管理をしていながら,法律上,団地の要件を満たしているのか疑問を生じるような例に接したこともあります。
管理規約の中に賃借人等の占有者に義務を負わせた条項を見かけることがあります。しかし,規約の規定により,どのような事項でも占有者を拘束できるかというと,そうではありません。
滞納されている管理費について、管理組合が債権放棄の検討を迫られることがあります。滞納額が多額で、物件の価値を超過するようなケースでは、競売をしても買受人が現れないため競売で新しい区分所有者を迎えることも出来ず、管理費が支払われない状態が永続してしまうおそれがあるからです。
滞納されているマンション管理費回収の手段の1つに滞納者の区分所有権の競売がありますが,この点,判決に基づく一般的な競売(強制競売)と区分所有法59条に基づく競売(59条競売)とを混同されていることがあります。
マンション管理組合が弁護士と顧問契約を結ぶことがあります。通常,理事会役員の大半は,法律の素人でしょうから,専門家の助言をいつでも受けることができる顧問契約は有益なものといえるでしょう。
管理会社の社員を含めて,一般の方はマンション管理に関わることなら当然に管理組合が訴えることができると考えがちです。ですが,誰が訴えを提起できるのか,という問題は実は結構やっかいです。