マンション管理に関する新しい最高裁判例をご紹介します。平成31年3月5日第三小法廷判決(裁判所ウェブサイト「裁判例情報」掲載)です。
管理会社が管理組合との間の管理委託契約に基づいて負う義務を怠り、その結果、特定の区分所有者が損害を被ることがあります。この場合、誰が誰に対して、何を根拠に損害賠償を請求することができるでしょうか。
今年、近畿地方は、台風21号の直撃を受けました。この台風が通過した際に強風によって屋根瓦や看板等、様々な物が飛散したことは、ニュースでご覧になった方が多いと思います。このように強風で飛散した物が近隣住戸の窓ガラスや自動車等に衝突して損害を与えた場合、法的な責任はどうなるのでしょうか。分譲マンションのバルコニーにある何らかの設備(仕切り板等)が強風で破損・脱落し、飛散して近隣に被害を与えたというケースを例に考えてみたいと思います。
最高裁は近時、標準管理規約に準じた規約がある管理組合でなされた理事会決議による理事長の解任を有効と認めました(最判H29.12.18、LLC/DB:L07210099)。マスメディアでも報道されましたので、ご承知の方も少なくないでしょう。
管理組合が管理費滞納者に対して滞納管理費請求の訴訟を提起し、滞納管理費の回収を実現できたとしても、手続を弁護士に依頼したとすれば、手続費用が持出しになってしまいます。そのような事態を避けるためには、標準管理規約にならい、規約に「違約金として」弁護士費用を請求できる旨の規定を設けておくことが必要です。
滞納管理費等を回収する手段として,滞納者に対する水道・電気の供給を停止する措置が採られる場合があります。
しかし,水道・電気のような,いわゆるライフラインを停止することは,居住者の生命・健康に対して重大な危険を生じかねない行為です。そのため,居住者から不法行為として損害賠償を請求されるおそれがあります。