私は,弁護士登録まもなくから,マンション管理に関する法律相談を受け,事件の依頼を受けてきました。勤務弁護士時代のボスがマンション管理会社の顧問をしていたためです。独立後も,同じ会社から引き続きご相談をいただき,また別の会社ですが,マンション管理会社から顧問契約をいただきました。それらの管理会社を通じて,マンション管理組合からご相談や滞納管理費の請求をはじめとする多数の事件依頼を受けてきました。
かくいう私自身も分譲マンションに住んで10年以上になります。住んでみると,交通至便な立地,断熱性の高さ,日当たりの良さ,外界(道路)と遮断されていることによる安心感など,一戸建てで同様の快適さを享受するのはなかなか困難と思われる快適さで,我が家では誰も戸建てに移ることを望まなくなっています。もちろん,個々のマンションで環境は異なりますが,我が家と同様,あるいはそれ以上に快適なマンション生活を送っておられる家庭は少なくないでしょう。
そのような快適なマンション生活を支えているのが管理組合です。管理組合は,管理費を集め,管理を行いますが,その過程で,管理費の滞納や修繕工事業者とのトラブルなど,法的な判断を必要とする事態に遭遇することがあります。ときには,管理組合として法的措置を採ることも必要になります。
しかし,管理組合の中心となるべき理事会役員は,他に仕事を持っている一般市民である区分所有者が,持ち回りで順番に(あるいはクジ引きなどで)就任しているのが通常です。法律の専門家が含まれることもまれでしょう。しかも,マンション管理をめぐる法律関係は,団体による自治の尊重を特徴とする区分所有法という特殊な法律を中心として規律されており,民法の基礎的知識を持つ方であっても,正確な理解は困難です。
そこにはやはり,法律の専門家である弁護士の助言・指導を求めるべき場面,あるいは事件として依頼すべき場面が多々存すると考えられます。
私は,これからも,マンション住民の快適な暮らしを守るため,基本的には管理組合の利益を守る立場でマンション管理をめぐる法律問題に関与していきたいと考えています。もちろん,一部役員の暴走により区分所有者の多数の利益が損なわれた場合や,少数の区分所有者が合理性のない不当な扱いを受けたような場合に,それらの救済のためのご相談や事件依頼についても拒否するものではありません。
どうぞ,よろしくお願い申し上げます。
弁護士 影山博英